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温度マッピングケーススタディ:温度制御のために重要な要素

データ主導の温度解析による保管規制要件への適合

Life Sciences
Thermal heat map with closeup of vaccine vials

ライフサイエンス分野において、温度感受性の高い医薬品の保管に関するグローバルな規制および規格に基づくガイダンスでは、医薬品の保管に使用する施設で、温度マッピングを実施することを推奨しています。温度マッピング分析は、施設内における固定温度センサーの適切な設置場所を明らかにするため、ワーストケースを想定し実施されます。温度マッピングには、企業の品質管理システムが、管理状態を維持することが可能であるという旨を、適切に文書化することが求められます。

Sensitechのプロフェッショナルサービスでは、数十年にわたる温度マッピングの専門知識を生かし、固定定置型モニタリングプロトコルの実装をサポートし、ライフサイエンスに関する規制順守について文書化するための、エビデンスに基づくインサイトを提供することを目的に顧客と連携いたします。データは、コールドチェーンプロセスにおけるシステム的な弱点や変動を明らかにし、発生する前に問題を特定するのに役立つ、有意義かつ測定可能なインサイトの中核をなしています。

温度マッピング調査では、TempTale®機器のデータに基づく広範なレポートを提供し、このレポートでは、各施設や機器の適切なモニタリングデューディリジェンスおよびプロトコルを示すことで、監査をサポートします。弊社のプロフェッショナルサービスチームでは、RAWデータを実用的な情報へ変換するため、さらに分析を行います。以下では、Sensitechの分析が、センサ ーの適切な配置に関し、ガイダンスや文書以上のものを提供し、施設全体の温度管理を改善したケーススタディをご紹介いたします。

Thermal Mapping Chart Scale

データを活用した設置位置の決定

弊社の顧客である、とある大手製薬会社では、頻繁に温度逸脱が発生することなく、倉庫環境を仕様に適合させるための保管モニタリングデータを必要としていました。さらにこの顧客は、施設内の温度管理を実証するため、文書化されたプロセスも必要としていました。この企業では、次の項目を取得することを目的とし、Sensitechのプロフェッショナルサービスを利用して、温度マッピング調査を実施しました:

  • 正確な温度モニタリングおよび環境の設定温度に対する信頼性を高めることが可能な固定式ColdStream® Siteセンサ ーの配置に関する推奨事項
  • 倉庫環境が仕様通りであったことを示す監査対応文書

温度マッピングは、施設、トレーラー、保管設備に一時的にセンサーを設置し、ワーストケース(温度変動が激しい場所や温度逸脱が起こりやすい場所)を特定することで、保管環境の制御を実証するものです。結果として得られたデータにより、施設では、正確な温度モニタリングが確保できる位置にモニタリングセンサーを設置し、テストやプロセスを文書化することで、品質コンプライアンスを順守することが可能となります。

Sensitechのプロフェッショナルサービスでは、温度マッピング中にTempTale®機器でモニタリングしたすべての位置を、温度管理の厳しさに基づいてランク付けし、ColdStream® Siteシステムにより、常時モニタリングする最適な位置を決定するため、このランクを使用します。マッピング完了時、RAWデータを継続的な温度管理をするための実用的な情報へと変換する詳細なレポートを顧客へ提供します。

未知の問題を発見するためのパターン

温度マッピングは、夏季の2週間にわたり実施されました。規制当局では、夏と冬に調査を実施することを要求しており、2週間という期間は、稼働中の保管施設内の温度に影響を与える可能性のある作業手順と、内部の温度に影響を与える可能性のある外部の気象変動の両方を考慮する上で、理想的なタイムフレームであるということが立証されています。

このシナリオでは、次の詳細データが提供されました:

  • 倉庫および冷蔵室の3次元的な温度分布
  • 頻発する低い温度逸脱の解析
  • 定期的に発生する高い温度逸脱の影響

Sensitechの2週間にわたる継続的な調査により、作業員が顧客の冷蔵室の内部温度にどのように影響を与えるかを完全に把握するとともに、外部の気象変動が倉庫の内部温度に与える影響をより正確に理解することが可能となりました。これは稀なケースですが、この保管環境では、高温と低温の両方の逸脱が、近接した場所で同時に発生していました。この2つの問題は、どちらも顧客により確認はされていましたが、その根本的な原因が特定されていませんでした。コールドチェーンに関する豊富な専門知識により、この環境下で信頼性の高いプロトコルを構築することができました。チームでは、サイズとレイアウトに必要なセンサーの数を決定し、3次元の空間を考慮するため、センサーとエリアを高さにより、低・中・高に分けました。

Thermal mapping placement piagram for TempTale monitors in customer's warehouse

顧客倉庫温度マッピング向けTempTaleセンサー配置プラン


Sensitechは、幾何学的に最も離れ、温度偏差が最も起こりやすい場所に焦点を当てながら、倉庫と冷蔵室の保管スペース全体に、センサーをグリッド状に配置しました。Sensitechは、自社でセンサーを製造しているため、保管されている製品の位置が、空気の流れをどのように妨げているかなどといった要因をより深く分析できるよう、きめ細かく具体的に配置しました。

外壁が隣接している環境では、外部温度の影響も考慮することが規則で定められています。この外部の気象による影響を全体的に把握するため、日々の外気温の変化をモニタリングする目的で、Sensitechではビルの外壁にセンサーを設置しました。

適切な温度管理の実現

施設全体の温度が変化する最初の大きな要因は、作業手順上の問題でした。センサーデータから、冷蔵室のドアが開けられると、高温の空気が冷蔵室に入り、低温の空気が倉庫保管環境内に循環する温度侵入が、繰り返し発生していることがわかりました。これらのパターンは、冷蔵室のドアが通常通り開閉されているのではなく、ドアを開けたまま作業をしていたため、2つの保管環境が温度仕様から外れていることに気付いていないということを示唆していました。

Cumulative Cold Room Temperature Data Graph

冷蔵室の累積温度データは、平日は高いピークを示し、週末は温度が下がりすぎることがわかり、これは、ドアの開放管理の不備と設定値の誤りを示しています。


センサーの累積グラフは、冷蔵室の温度の経時変化を示しています。ドアに最も近いセンサーは、「業務スケジュール」の結果を示しており、これは温度のピークが1日8時間、週5日の業務に相関しています。グラフの下の部分は、環境の設定値が低すぎたということを示しています。ドアの開放管理の不備で熱が侵入したことにより、冷蔵室の温度が急激に低くなるという結果につながっていました。

Thermal map showing hot air inside cold storage warehouse

保管環境である冷蔵室の外で、低温の逸脱(下中)に近接して循環する高温の気流(上左)。


この顧客の倉庫保管環境では、冷蔵室からわずか数メートル離れた場所で高温の空気が循環しているという問題が繰り返し発生していることも、データから判明しました。

Cumulative temperature data graph showing weather-related heat spikes

上のグラフは、気温の変化が1日の天気の周期と相関していることを示しています。熱侵入の発生箇所を3次元的に解析し、調べたところ、西側壁内の断熱材が、前年に破損していたことが判明しました。倉庫は、外気温の影響により、日中の最も暑い時間帯に気温が上がり、夜間の最も寒い時間帯に気温が下がるという状態でした。

データを情報へ、そして行動へ

Sensitechの温度マッピングサービスでは、理想的な固定センサーの設置位置を、規制文書の裏付けとともに推奨し、施設全体の温度管理を改善するために必要な情報を提供しました。これらの改善は、作業手順および施設レベルの両方で行われました。

低温時の温度逸脱を軽減

  • 冷蔵室内の高温逸脱と倉庫内の低温逸脱は、冷蔵室のドアが開いたままになっていることが原因であることがわかり、手順とトレーニングの変更が必要であることが明らかになりました。
  • Sensitechは、近隣の製品に逸脱を起こすことなく冷蔵室での操作が可能となるよう、施設における新しい標準的な操作手順を考案するサポートを行いました。
  • この顧客は、低温の逸脱を軽減するために、特定のエリアの断熱材を増やすつもりでしたが、弊社の分析により、プロセス全体を再びコンプライアンスに適合させることのできる、より迅速で費用対効果の高いトレーニングソリューションが判明しました。

高い温度逸脱の防止

  • センサーを細かく配置し、外部温度を14日間モニタリングし分析した結果、Sensitechでは、頻繁に起こる高温の逸脱が、日々の外部温度の変動と相関していることを確認しました。
  • 3次元の温度マッピング解析により、この温度変動が発生している箇所を特定しました。その箇所を調査したところ、顧客が把握していなかった断熱材の破損箇所が発見されました。
  • 顧客は、破損した断熱材を交換し、これにより、不必要な空調能力を追加する必要がなくなり、数千ドルの節約につながりました。

センサーの配置

  • この調査の本来の目的は、適切な固定センサーの配置を推奨し、その場所にColdStream Siteセンサーを設置することで、温度精度を一新することでした。
  • 監査対応文書には、2つの保管環境の新しい容量が、仕様の範囲内に収まっていることと、この温度管理を行うために行われた手順の変更について記載されています。

Sensitechでは、センサーの位置を提案し、ColdStream Siteセンサーをその位置に設置することで、顧客の当初の要件を満たしました。顧客のRAWデータを、保管環境全体の温度管理を改善するための情報へ変換することで、顧客は規制へのコンプライアンスをさらに強化することができました。顧客は、監査に対応できるテスト、プロセス、文書が整備されたことで、自信を持って施設が徹底した管理下にあるということを証明することができたのです。

Sensitech のサーマル マッピング研究の詳細については、ここをクリックしてください。

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